日本財団 図書館


 

です。そして、クロンビー委員長いわく「しかしながら、ここで中断するわけにはいかない」。そこで前に進むためには何をするかということで、クロンビー委員長はその経緯というものを考えまして以下のように言いました。「確かに何らかの主体が必要となる。しかしながら、そこに権限を与えてはならない。権限を付与してしまうと、さらにその司法権、管轄権をめぐって暗礁に乗り上げてしまうからだ。そしてまた政府間の関係を整理しようとすると、それだけで時間を費やしてしまう。だから、仕事を前に進めるためにウォーターフロント再生というところに焦点を当てて、そこだけに焦点を当ててできるものを何かつくろうではないか」と。そして、連邦省と州の省がその9つの原則に合意した上で何かできる方法はないだろうかと考えました。そこでウォーターフロント・リジェネレーション・トラストという、経済と環境とコミュニティーに関心を持ったトラストが出現したわけです。すなわちトラストといいますのは、公共的な利害を代表する形でこのウォーターフロントを彼らにかわって管理する役割ということであります。
(S6)ここで高速道路が見られます。そして、この高層の建物は水際に建てられております。上がトロント港です。あまり船は見えません。トロントの島がこういった形で見えております。地理的にはあまり魅力がないところであります。遊休地もいっぱいありますし、駐車場だらけです。そして、右の方にちょっと塊がありますけれども、これは1928年に氷の倉庫として建てられたものであります。冬場に湖から氷を掘って、そしてここに貯蔵しておいて夏に使うというものでありました。1980年代初頭にこれはオリンピア・アンド・ヨークによって再開発されました。そして、今では多目的ビルとなっております。トロントの市民はこれが大好きです。ここに行けば、この周りを歩くこともできる。そして、この突堤からヨットを出すこともできる。しかしながら、中央の建物がそれを阻害しているわけです。トロントの住民はこういったウォーターフロントは自分たちは欲しくないんだということで文句を言い始めました。
(S7)そこで、我々は町と湖を再度連続性をもって接続する必要がありました。これは、湖に突き出している細い土地でありますけれども、ハーバー・コミッショナーが何をしようとしていたかといいますと、ここに空港を建設しようとしていたわけで、滑走路をつくろうとしておりました。ここにあったものを左の方に移転して、中央のところには住宅をつくろうとしておりました。ここは工業地帯、そしてこれは川でありますけれども、トロントの住民はこの川の再生というものを願っております。したがって、湿地、緑の地域をここには回復し、そしてグリーンインフラをここにつくり、木を植えたり野生生物のための回廊のようなものをつくっていこうと考えております。それによって市の中心部と後背地、内陸部を湖とつなげようとしているわけです。それと同時に、また企業にとっても効率のよい形にしようとしております。
(S8)ペーパーで述べておりますのは、コンセプトとしてはシンプルであります。ただ、達成はなかなか困難ということでありましょうか。どれほど難しいかということを中

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION